最近読んだ小説にたまたま製糖工場の記述があった。おそらくイギリスにある設定の、架空の製糖会社なんだけど、たまたま見つけたので引用として残しておく。
「(中略)あなたは製糖業者でしょう、ミスター・アストリー?」
「ええ。わたしは有名な砂糖工場ローヴァー株式会社の経営に参加しています」
ドストエフスキー「賭博者」原卓也・訳、新潮文庫
ドストエフスキーの「賭博者」は1866年にロシアで出版されていて、舞台はドイツの架空の都市なのだけど、そこに登場する人物(外国人)が主人公(ロシア)から見た各国のポジションというか性格を体現していて面白い。たとえば主人公でもあるロシア人は「放蕩」であり、「奪い」&「憧れ」のフランス人、「与える」イギリス人、ポーランド人とユダヤ人は乞食・守銭奴くらいの扱いの配置だった。当時のロシアの国内ではてん菜糖(ビート糖)が生産されている年代のようにも思えるので、そんな中でも製糖をイギリス人が担っているというのは興味深い。執筆当時のイギリスの製糖業の勢いもあり、時代背景としても妥当だったのかもしれない。そんな風にロシアの製糖史に思いを馳せてみたりした。
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