シンガポールは自国内で砂糖を生産しておらず、タイ・オーストラリア・隣国のマレーシアなどから精製糖を全量輸入している。シンガポールでは精製糖に輸入関税がかからないため、国際価格で安定的に調達可能なため、大手穀物メジャー(オラム、カーギル、ADM、ウィルマーなど)が拠点を置く。また、精製糖を再パッケージしアジアに再輸出したり、ミルク・ココア調整品などの加糖調製品を主に日本などに輸出しているのが特色。
ウィルマーインターナショナル(Wilmar International)
シンガポールを拠点とする大手アグリビジネスグループで、アジアでは中国のCOFCO(コフコ)と並ぶ最大規模の企業。1991年にパーム油商社として設立され、パーム油事業については世界トップクラス。
製糖事業については、2010年頃にオーストラリア最大手だったColonial Sugar Refining Company(CSR)の子会社であるSucrogenを買収(現在のWilmarSugar)し、その他にもインドネシアの大手製糖会社のPT Jawamanis RafinasiやPT Duta Sugar International、オーストラリアのProserpineMillを買収し製糖事業を拡大した。
シンガポール証券に上場(SI:WLIL)しているが、アメリカの大手穀物メジャーであるADM(Archer-Daniel Midland)が約25%の株式を保有している。2021年のグループ全体の売上高は約657億ドルで製糖部門は約66億ドル(精製糖が約54億ドル、粗糖が約12億ドル)。
SIS(SIS’88 PTE.LTD)
シンガポール最大手の製糖会社。輸入した精製糖を再加工し、東南アジアと中東に向けて輸出しており、特にシンガポール国内とUAE(アラブ首長国連邦)で高いブランド力を有している。1967年に国営の精製糖製造会社(Sugar Industry of Singapore Limited)として設立し、1980年代から中東に砂糖を輸出している。
1988年にED&F Man Holdings Limited(イギリスの投資ファンド)から出資を受けたが、2018年に三井製糖(70%)と三井物産(30%)が買収し連結子会社化する。2017年の売上高は約150億円(1.2億ドル)。
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