オーストラリアの製糖会社

 オーストラリアはサトウキビによる製糖で、砂糖の生産量は世界全体の数パーセントだが、その約8割以上を輸出しているため、ブラジル、タイなどに並ぶ輸出大国である。日本の粗糖輸出先としてもオーストラリアが近年では約8割を占めている(残りはタイ)。オーストラリアの製糖会社はシンガポール・ドイツ・中国・タイなどの外国企業が多数参入しているのが特徴。

Wilmar Sugar Australia(ウィルマーシュガー)

 オーストラリア国内最大手の製糖会社であり、シンガポールのウィルマーインターナショナルの子会社でもある。2010年にオーストラリアの国内企業CSR社から製糖部門のSucrogen(スクロゲン)を約14.7億ドルで買収し、2012年にProserpine(プロサーパイン社)を買収し、現在のウィルマーシュガーに至る。Sucrogenは元々は1998年にCSR社、Mackay Sugar、ED&F Manによってオーストラリア(Sugar Australia)とニュージーランド(NewZealand Sugar)に設立した合弁会社で、現在はウィルマーシュガーが各社の株式の75%を保有し、製糖事業を展開している。2020年の売上高は約2.9億ドル。

Mackay Sugar(MSL、マッカイ・シュガー、マッケイ・シュガー)

 オーストラリア国内で第2位の規模の製糖会社。年間80万トンの砂糖を生産し、約3億ドル以上の売上高。1988年に協同組合が合併して設立。現在はウィルマーシュガーとオーストラリア(Sugar Australia)とニュージーランド(NewZealand Sugar)の合弁会社の各25%を保有している。2019年からはドイツの製糖大手ノルトツッカー(Nordzucker)に約6000万ドル(豪ドル?)で株式の70%を買収され、グループの傘下に入っている。

MSF Sugar

 1894年にMaryborough社として設立し、1971年にMSF Sugarとしてオーストラリア証券に上場。その後、マルグレイブミル製糖工場の買収や、他の製糖会社との統廃合を経て、2011年からはタイの製糖大手ミトポンに買収されて子会社となる。

Tully Sugar(タリー・シュガー)

 1931年にタリー製糖工場が政府から協同組合に売却され、協同組合工場として設立・運営。1990年に現在のTully Sugarとして成立。2011年以降は香港の製糖大手COFCO Sugar(コフコ・シュガー)の完全子会社となっており、中国に向けて輸出もしている。年間約30万トンの砂糖を生産している。

Bundaberg Sugar(バンダバーグ・シュガー)

 1972年にFairymead Sugar Company Limited(フェアリーミード・シュガー、1870年創業)とGibson&Howes Limited(ギブソン&ハウズ)の合併により設立。2000年にベルギーの持ち株会社Finasucreに買収されている。未上場。年間22万トン以上の砂糖を生産している。

Sunshine Sugar(サンシャイン・シュガー)

 1874年にハーウッド島に製糖工場を設立したことから「ハーウッド・シュガー」とも呼ばれる。現在はNSW製糖協同組合と国内のアグリビジネス企業であるManildra Group(マニルドラグループ)が各50%の出資で経営されている。

Isis Central Sugar(ICSM、イシス・セントラル・シュガー)

 1896年に設立された協同組合形態の製糖会社。2019年にパキスタンの製糖大手Almoiz(アルモイズ)から3500万ドルの出資と買収の話が出たが、2020年に解消されている。

Sugar Australia(シュガー・オーストラリア)

 ウィルマーシュガー(75%)とマッカイシュガー(25%)による合弁会社。「CSR」ブランドの砂糖を生産している。世界で3台しかない砂糖専用の船舶を所有している(参考リンク)。

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