イギリスの製糖会社

 イギリスは歴史的に砂糖輸入国だが、国内ではビート(てん菜)を栽培し、ビート糖(てん菜糖)も生産している。ビート糖の生産量はEU内で第4位だった(2015年時点のEU離脱決定前。上位はドイツ・フランス・ポーランド)。ガイアナやフィジーなどのACP諸国から粗糖(サトウキビ)を、ドイツやフランスから白糖を輸入している。その他の特徴として、ビート糖と精製糖(サトウキビ)をそれぞれの製糖会社が専任で生産している点が挙げられる。そのため、イギリス国内の製糖会社は2社しか存在しない。

British Sugar(ブリティッシュ・シュガー)

 イギリス国内で唯一のビート糖(てん菜糖)製糖会社。1936年の設立時には国有化され、最終的には1991年にAssociated British Foods(ABF、アソシエイティッド・ブリティッシュ・フーズ)に買収され子会社化した。
 ABFはロンドン証券に上場しており、砂糖とパン酵母では世界第2位の生産会社であり、製糖部門ではAB Sugarとしてカナダ・中国・スペインなどの世界各国に展開している。年間約120万トン程度の砂糖を生産しており、2021年の製糖部門の売上高は約17億ポンド(約22億ドル)で、これは全体の売上高(約139億ポンド)の約12%を占める。

Tate & Lyle(テート&ライル)

 イギリス国内で唯一の精製糖(サトウキビ)工場で、テムズ工場は年間で350日以上操業している。1921年にHenry Tate&SonsとAbram Lyle&Sonsの2つの製糖会社が合併して設立。1893年から販売しているシロップ「Golden syrup」は同社の代表的なブランドとして広く知られている。その後、事業の多角化を進め、2010年にはブランドライセンスを含む製糖事業を売却しアメリカの製糖大手ASR(アメリカン・シュガー・リファイニング)に子会社となった。

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