ブラジルの製糖会社

 ブラジルは世界第1位の砂糖生産国であり(2021年時点で約3600万トン)、世界で生産されている砂糖の約20%を担っているとされると同時に、世界第5位の砂糖消費国でもある(2021年時点で約1000万トン)。サトウキビによる製糖で生産した高糖度のVHP粗糖(VHP:Very High Polalization)を世界に輸出している。砂糖生産地域はサンパウロ州が国内生産の約60%を占める。ブラジル国内ではサトウキビの搾汁を用いて砂糖を生産する他、搾汁やバガス(サトウキビの搾りかす)を利用したバイオエタノールの生産も盛んであり、製糖事業とバイオエタノール事業を兼ねているため、原料であるサトウキビ栽培から砂糖・エタノール生産まで一貫している企業も多いのが特徴。

Raizen(ライゼン)

 バイオエタノール・バイオエネルギー大手で、原料となるサトウキビ生産の過程で製糖事業も行っている。ブラジルのバイオエネルギー(製糖)大手のコザン(Cosan)とイギリスのエネルギー(石油ガス)大手のシェルと50:50の合弁会社として2010年に設立。2021年に上場(RAIZ4:サンパウロ証券)。2020年の砂糖部門での売上高は約17億レアル(3億ドル)で、全体の売上高約146億レアル(29億ドル)に対して約10%の割合。

Atvos

 2007年にブラジルのOdebrecht(オーデブレヒト)と日本の双日と共同で、バイオエタノール・製糖・バイオマス発電会社としてETH Bioenergia(エーテーアガー・ビオエネルジア)を設立。2010年にバイオエネルギーのBrenco(ブレンコ)などを買収し、2017年に現在の社名Atvosに改名した。設立当初から双日(日本)が33.3%の株式を保有している。
 メイン事業はエネルギー分野で、国内で2番目に大きいエタノール生産規模を持つ。2021年の粗糖生産量は約70万トン、エタノール生産量は30億リットル。

São Martinho(サン・マルティーニョ、サン・マルタン)

 1938年に創業したエタノール・製糖会社で、2007年に上場(SMTO3:サンパウロ証券)している。世界最大規模のエタノール・砂糖工場であるサン・マルティーニョ工場を筆頭に他3工場を所有している。2021年の全体売上高は約43億レアルで、粗糖生産量は約148万トン(売上高は約19億レアル)、エタノール生産量は約102万リットル(売上高は約20億レアル)。また、エタノール製造の子会社UBV社(USINA BOA VISTA)には三菱商事(日本)が約10%出資している。

Planeta Verde(プラネタ・ヴェルデ)

 有機サトウキビを栽培し、オーガニックシュガーを専門に生産している製糖会社。1987年に創業。社名のプラネタ・ヴェルデは「緑の惑星」という意味。複数の地域でのオーガニック認証を取得し、年間で約1300トンのオーガニックシュガーを生産し、スイス、ドイツ、米国、日本、ニュージーランド、中国などに有機砂糖を輸出している。日本では上野砂糖株式会社が有機黒糖として販売している。

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